骨盤臓器脱こつばんぞうきだつの情報

骨盤臓器脱とは?

骨盤臓器脱の概要

骨盤臓器脱(POP:pelvic organ prolapse)は、「女性の骨盤内にある膀胱、子宮、膣、直腸などが本来の位置から下垂して膣から脱出してくる疾患¹」です。
脱出している臓器・部位に応じて、「膀胱瘤」「子宮脱」「直腸瘤」などと呼ばれます∗。
※他にも小腸瘤や膣断端脱などがあります。
※図は、下腹部の断面図を簡略化したイメージです。患者様ごとに体内の状態は異なります。

正常な状態

正常状態断面図イラスト

骨盤臓器脱の状態

骨盤臓器脱の状態イラスト

自覚症状の例

骨盤臓器脱による「QOLの低下」

生活の変化

症状が進むにつれて外出を控える、旅行やスポーツなども避けるなど日常活動に制約が多くなり、QOL(quality of lifeの略。「生活の質」の意)が低下する¹という問題があります。

心の変化

軽症の骨盤臓器脱であれば、骨盤底筋体操などによって、改善が期待できますが、症状が進んでしまっている場合、根治手段は手術のみといわれています¹。
骨盤臓器の下垂に心当たりのある方は、早めに専門医に相談し、骨盤底筋体操を行うなどの対応をとりましょう。
QOLの低下が考えられるようであれば、独りで抱え込まず、早めに専門医に相談して、自分に適した治療を行うことをおすすめします。

なに科を受診したらいい?

骨盤臓器脱の専門医がいる、泌尿器科か婦人科に相談しましょう。
排尿にかかわる症状があれば泌尿器科へ、それ以外の場合は婦人科へというのが原則です。

骨盤臓器脱は、urogynecologyウロギネコロジーという、泌尿器科(urologyウロロジー)と婦人科(gynecologyギネコロジー)の境界分野の病気です。
そのため、骨盤臓器脱の専門医がいるのは、病院によって、泌尿器科であったり婦人科であったりとバラバラです。
最近は、骨盤臓器脱外来女性外来女性泌尿器科ウロギネ科などの専門外来がある病院も増えてきています。
通院する前に、病院のホームページや電話で確認してみましょう。

出産経験者の40~50%の方が何らかの骨盤臓器脱症状を抱えている³と言われています。
1人で悩まず、まずは専門医に相談しましょう。

※参照・参考文献
・¹2018/3/14閲覧 亀田グループポータル 医療ポータルサイト 「骨盤臓器脱(性器脱)」 http://www.kameda.com/patient/topic/genital/index.html
・²2018/8/8閲覧 辻仲病院柏の葉ホームページ 「骨盤臓器脱」 https://www.tsujinaka.or.jp/service/pelvic-organ-prolapse/prolapse/
・³東京医科大学病院 産科・婦人科 主任教授 西 洋孝先生講演 第125回東京医科大学病院 市民公開講座 「骨盤臓器脱(POP)の治療」

骨盤臓器脱の原因

骨盤臓器脱の主な原因は「出産」・「加齢¹」、多くの女性を悩ませている病気です。

「出産による骨盤底筋の損傷」や「加齢(閉経後の女性ホルモンの減少)による骨盤底筋のゆるみ」などの原因が複合的に合わさることで、骨盤底筋が内臓を支える力を失ってしまうと、骨盤臓器脱になります²。
出産経験者の40~50%の方が何らかの骨盤臓器脱症状を抱えている²というデータもあり、女性の健康寿命に大きな影響を与えていると考えられます。

出産・加齢以外にも、色々なリスク要因があります¹

腹圧を上げて骨盤底に大きな負担をかけることから、

なども、骨盤臓器脱のリスクを高めるため、避けた方が良いといわれています。
また、遺伝的な要因があるという報告もあります。

※参照・参考文献
・¹2018年3月、亀田グループポータル 医療ポータルサイト、「骨盤臓器脱(性器脱)」 http://www.kameda.com/patient/topic/genital/index.html
・2018年8月、亀田グループポータル 医療ポータルサイト、「ウロギネの病気の自己診断と予防」、 www.kameda.com/patient/topic/urogynecology/12/index.html
・²東京医科大学病院 産科・婦人科 主任教授 西 洋孝先生講演、第125回東京医科大学病院 市民公開講座 、「骨盤臓器脱(POP)の治療」

骨盤臓器脱の治療

以下は、骨盤臓器脱の医療機関での治療法についての一般的な情報です。
治療方法の判断は、医療機関を受診し、医師の診断に基づいて決めることをおすすめします。

軽症(POP-stageⅠ)の場合

下垂による不快感があっても、日常生活に支障が無い程度の場合

上記が主な治療として行われ、腹圧性尿失禁にも効果があるとされています。
これらは、中~重症の場合にも症状の悪化を防ぐのに有効という報告があります。

骨盤底筋訓練(体操)とは
膣・尿道・肛門を締める運動を毎日一定回数行うものです。2~3か月継続すると、軽症の骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁の症状の改善が期待できます。
詳細は、「筋肉を鍛えましょう!」をご確認ください。
※参照・参考文献
・2018年3月、亀田グループポータル 医療ポータルサイト、「骨盤臓器脱(性器脱)」、http://www.kameda.com/patient/topic/genital/index.html

中~重症(POP-stageⅡ~)の場合

下垂症状が日常生活に支障をきたす場合

ペッサリー治療

直径5~8.5㎝程度のプラスチックのリング状装具を膣内に入れて、脱をもとの位置に戻して症状を緩和する方法。
膣内の炎症を防ぐため、1~3ヵ月毎に通院・検査・投薬が一般的ですが、基本的には朝晩の自己着脱が望ましいとされます。
感染症のリスクが高い場合や、尿失禁の悪化・自然脱出・出血を起こす場合は、他の治療法を選択します。

詳細は、「医療機器の種類」や、各販売会社の表示をご確認ください。

手術療法

骨盤臓器脱の唯一の根治手段とされています。
膣から子宮を摘出し、弛緩した膣壁を部分的に切除して縫い縮める方法(膣式子宮全摘術+前後膣壁形成術)などが多くの施設で行われています。
現在は、合成繊維でできたメッシュを入れて補強する方法(TVM手術・LSC手術など)も行われています。
手術療法には、患者様の持病や年齢、子宮を残すか、性交機能を残すか、人工物であるメッシュを使うかどうかなど多数の選択肢があります。
信頼できる専門医に相談して慎重に決めましょう。

※参照・参考文献
・2018年3月、骨盤臓器脱(子宮脱)手術net、「骨盤臓器脱の手術 TVM手術とLSC手術」
・「女性泌尿器科百科(8)骨盤臓器脱の手術療法その1」、http://gogourogyne.net/for/index.html
・2018年3月、亀田グループポータル 医療ポータルサイト、「骨盤臓器脱(性器脱)」、http://www.kameda.com/patient/topic/genital/index.html
・東京医科大学病院 産科・婦人科 主任教授 西 洋孝先生講演、第125回東京医科大学病院 市民公開講座 、「骨盤臓器脱(POP)の治療」

アダム医健の骨盤底サポーター(軽症~重症)

下着の上にはき、骨盤底筋を支えることで下垂した臓器を正常な位置に保持して症状を緩和する方法。
膣内挿入部品が無いため特別な管理は必要ありません。
重度の会陰体損傷が無い方であれば軽症~重症まで有効ですが、効果は着用中のみで、外してしばらく放置すると再び下垂してきます。
骨盤底筋訓練(体操)との併用をおすすめしています。
ペッサリーと同様の保存療法(手術に拠らない治療法)として2016年に学会発表された治療法で、採用病院が徐々に増えています。
2019年にはNHK番組「きょうの健康」でも骨盤底サポート下着として紹介されました。

詳細は、「骨盤底サポーター」のページをご確認ください。
骨盤底サポーター治療について相談できる病院は「推奨医療機関」のページをご確認ください。

※「骨盤臓器脱の治療」ページは、日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会発行の、「産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2017」を参考に作成しました。

筋肉を鍛えましょう!

骨盤底筋体操や散歩などの軽い運動をしましょう!

骨盤底筋訓練(体操)について

骨盤底筋訓練(体操)は、骨盤臓器脱の症状の進行を遅らせたり¹、排尿障害や排便障害、腹圧性尿失禁などの症状に対して有効²とされており、主に軽度の骨盤臓器脱患者への治療法として推奨されています。
※肥満や便秘などの生活改善とあわせて行うことが推奨されています。

「客観的な脱の改善や下垂症状の長期的な改善にはつながらない可能性がある²」、「病状が進んだ骨盤臓器脱の場合には効果は期待できない³」という見解がある一方で、症状が進行している場合(POP-QstageⅡ以上)でも骨盤底筋訓練指導が有効だったという症例も存在します²。

骨盤底筋体操自体に副作用はありません。
骨盤臓器脱の患者様は、やる前からあきらめずに、まずは3か月間試していただくことをおすすめします。
もし改善がみられなくても、できる範囲での軽い運動を心がけましょう。

※参考・参照文献
・¹2018年8月、四谷メディカルキューブホームページ、「骨盤臓器脱(性器脱)」、 www.mcube.jp/womans/explanation/prolapse_03.html
・²産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2017、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会
・³亀田グループポータル 医療ポータルサイト 「骨盤臓器脱(性器脱)」 http://www.kameda.com/patient/topic/genital/index.html

骨盤底筋訓練(体操)のやり方

尿道・膣・肛門などを数秒間締める➡力を抜く
※腹筋に力を入れないように行ってください

という動きを、毎日一定回数、2~3か月以上継続して行う体操です。 詳しくは、下記の医療機関のサイトや、専門家の指導を参考にしてください。

継続することが大切です。無理のない回数を、毎日行いましょう。

※参考サイト
・骨盤底筋体操(亀田グループポータル 医療ポータルサイト)   http://www.kameda.com/patient/topic/rehawalk/06/index.html
・『骨盤臓器脱(子宮脱)手術』Net 自分でできる骨盤底のケア   http://gogourogyne.net/about/care/index.html

「アダム医健の骨盤底サポーター」は筋力トレーニングの良いパートナーです

現在、骨盤臓器脱の根治手段は手術のみといわれています。

そのため、多くの患者様が次のような対応をしています。

ペッサリーをつけて様子をみる➡手術レベルまで重症化したら手術を受ける

私たちアダム医健は、健康寿命を延ばす為に積極的な対応をおすすめします。

骨盤底サポーターで臓器の下垂を支える+骨盤底筋体操や生活改善¹軽度の運動悪化を防ぐ

外出を控えると健康寿命が損なわれます

1日7500歩(早歩き17.5分を含む)の散歩²を目標に、無理なく続けられる運動で下半身の筋肉を鍛えましょう。

歩行困難やトイレトラブル→運動不足・自信喪失→体力低下・認知症のリスク…

という負の連鎖にならないように、骨盤底サポーターなどの医療機器で症状を抑えながら、骨盤底筋体操と生活改善に取り組みましょう。

骨盤臓器脱は充実した楽しい毎日を諦めなければならない病気ではありません。
多くの患者様が、症状の改善に取り組みながら、お仕事や家事、趣味やスポーツに励んでいらっしゃいます。

アダム医健の骨盤底サポーターは、患者様の筋力トレーニングの頼もしいパートナーです。

※¹肥満や便秘、喘息症状、体を締め付ける衣類の着用、重い物を持つなどの、骨盤底に負担をかける生活を改善することをいいます。
※²ご自身の健康状態に応じて無理のない範囲で行ってください。

医療機器の種類

骨盤臓器脱の医療機器ってどんなものがあるの?

骨盤臓器脱の保存療法でよく使用されている医療機器のご紹介です。
治療方法の選択については、医師の説明をよく聞いて、ご自分に適した方法を選びましょう。

※2020年4月時点での調査によるものです。
※以下の情報は、それぞれの製造販売会社の公開情報をもとに、当社がまとめたものです。詳しくは各製造販売会社の表示をご確認ください。

(リング)ペッサリー

[参考価格:約¥1,000~¥9,000]

膣内に、リング型・М型などの形状のプラスチック器具を挿入して、子宮や膣を支える方法。
2~3か月毎に通院して洗浄・交換する「連続装着方式」が一般的だが、患者自身で着脱する「自己着脱方式」を指導している医療機関もある。

特徴

※参照・参考文献
「知ろう!ペッサリーのこと」 pessary-info.jp
「骨盤臓器脱治療用リング キタザトリングペッサリ-」 www.kitazato-pessary.com

アダム医健の骨盤底サポーター

[参考価格:¥13,200]

「会陰体」を持ち上げて、深い位置で下垂した臓器を留める方法(国立大学との共同研究)。
手術やペッサリーという方法が合わない方のための、下着の上からはく、サポータータイプの医療機器。
※2016年に医学会で発表、2017年から販売が開始された医療機器です。

特徴

➡詳しくは、「骨盤底サポーター」のページをご覧ください。

フェミクッション

[参考価格:¥30,800]

でっぱりのあるシリコン素材を膣口に直接あて、ベルトで固定することで、膣口を塞ぎ、臓器を体内に保持する方法。
ペッサリーが合わない方や手術待ちの方などのために、(株)三井メディカルジャパン(旧:(株)女性医療研究所)が開発した医療機器。

特徴

※参照・参考文献
フェミクッションの情報は、(株)三井メディカルジャパンのホームページを参考に作成しています。 より詳しい情報をお求めの方はそちらをご覧ください。

☆骨盤臓器脱用サポート下着を選ぶときの重要ポイント☆

1、お腹を締め付けないものを選ぶ
お腹を締め付けると、腹圧が上がり、骨盤底筋に大きな負担をかけてしまいます¹。ベルト状のものや、ガードルのようなきつい下着類など、苦しく感じるものは避けましょう。
2、骨盤底が支えられるものを選ぶ
骨盤内にある臓器は、膣周辺の、骨盤底と呼ばれる筋膜やじん帯などによって支えられています²。骨盤底を支えられるものを選びましょう。
3、着脱が簡単なものを選ぶ
頻尿の症状がある場合、すぐに脱げることが重要です。 自分の生活に適した、使いやすい・続けやすいものを選びましょう。
※参照・参考文献
・¹2018年8月、亀田グループポータル 医療ポータルサイト、「ウロギネの病気の自己診断と予防」、 www.kameda.com/patient/topic/urogynecology/12/index.html
・²2018年8月、女性の骨盤臓器脱 治療はどうする?|NHK健康チャンネル、 https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_335.html

動画でのご説明

「骨盤臓器脱 基本情報サイト」(大阪大学医学系研究科)のご説明動画を閲覧いただけます。


→骨盤底サポーターのご説明

→骨盤底サポーターのご購入方法